運賃の推移と比較 〜 阪急とJR西日本の1990年代

U.R.L. 2000年12月20日水曜日公開


 その接近した路線網から、ライバルとしてなにかと比較され、また車両やダイヤ・スピード・所要時間などでサービスの質を競い合ってきた阪急とJR西日本(旧・国鉄)。線路が敷かれた時から宿命づけられたその競合状態は、一時の阪急の圧倒的優勢の時期を経て、国鉄が民営化されJRになってからますます熾烈になり、現在では、その恵まれたインフラを縦横無尽に活用し始めたJRの一人勝ち状態だといわれます。

 また、サービスの質を競い合うその裏で、運賃が及ぼした影響も決して小さくないでしょう。特に、1990年代に入ってからの「運賃逆転現象」は、「高い国鉄(JR)、安い阪急」という、それまで人々が半ば常識的に持っていた価値観を根底からひっくり返し、大きなインパクトをもって受け止められたものです。そして、「普通運賃の比較」や「定期運賃の比較」でも少し触れましたが、それまで民鉄の十八番だった「運賃の安さ」を、もはやJRがアピールする時代になっています。

 そこでここでは、その「運賃逆転現象」に焦点を当てて、1990年代における阪急とJR西日本の運賃の推移と比較をしようと思います。車両やダイヤ・所要時間からはわからない、両社の競合関係の一側面が垣間見えるかもしれません。

 なお、1990年代以前の運賃については、「付表-1:阪急の運賃の推移」と「付表-2:国鉄の運賃の推移」にまとめましたので、あわせてご覧ください。もし調査漏れ・調査ミスや、誤記などがありましたら、ご指摘頂けると幸いです。また、当ページは、スタイルシート(CSS1)対応のWebブラウザでご覧頂くことを、お勧めいたします。


普通運賃の推移と比較

 1989年4月1日の消費税導入時の運賃改定から、1997年4月1日の消費税率改定時の運賃改定までの普通運賃の推移と比較です。

(下の表が読み込まれるまで、しばらくお待ちください。)

JR西日本

(km)
阪急電鉄
大阪駅から同運賃の駅 運賃(円) 運賃(円) 梅田駅から同運賃の駅
JR神戸線 JR宝塚線 JR京都線 1997.
4.1
改定
1989.
4.1
改定
1989.
4.1
改定
1991.
11.20
改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定
京都線 宝塚線 神戸線
黒字:電車特定区間運賃
橙字:幹線運賃
120
140
120
140
1
2
3
100 120 150 150 中津
十三
塚本 新大阪
東淀川
160
180
150
180
4
5
6
130 160 180 180 南方
崇禅寺
淡路
上新庄
三国
庄内
服部
曽根
神崎川
園田
尼崎 吹田
岸辺
170
190
160
190
7
8
9
10 180 200 210 220 相川
正雀
(吹田)
岡町
豊中
蛍池
石橋
塚口
武庫之荘
(稲野)
(新伊丹)
(伊丹)
立花
甲子園口
塚口
猪名寺
伊丹
千里丘
茨木
210
230
210
230
11
12
13
14
15 210 230 250 260 南茨木
茨木市
総持寺
池田
川西能勢口
雲雀丘花屋敷
西宮北口
夙川
西ノ宮
芦屋
北伊丹
川西池田
摂津富田 290
250

320
290
250

310
16
17
18
19
20 230 250 270 270 富田
高槻市
山本
中山
売布神社
清荒神
宝塚
芦屋川
岡本
御影
甲南山手
摂津本山
住吉
中山寺 高槻 380
250

400
320
370
250

390
320
21
22
23
24
25
六甲道
宝塚 山崎 450
390

480
320
440
390

470
320
26
27
28
29
30
260 280 300 310 上牧
水無瀬
大山崎
六甲
王子公園
春日野道
三宮
三ノ宮
元町
神戸
長岡京 540
390

570
530
390

560
31
32
33
34
35
290 320 350 360 長岡天神
西向日
東向日
向日町 620
540

650
610
530

640
36
37
38
39
40
西大路
京都
690
540

740
680
530

720
41
42
43
44
45
330 350 380 390 西京極
西院
大宮
烏丸
河原町
(嵐山)
丹波口
二条
780
820
760
800
46
47
48
49
50
嵯峨嵐山 890
950
880
930
51
52〜60 390 410 440 450
1,050
1,110
1,030
1,090
61〜70 450 470 500 510
1,210
1,280
1,180
1,260
71〜76 520 560 590 600
km
1997.
4.1
改定
1989.
4.1
改定
1989.
4.1
改定
1991.
11.20
改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定

 1989年4月1日時点では、JR電車特定区間と阪急の運賃を比較した場合、10kmで阪急が20円高く、15kmで両社同運賃だった他は、全ての距離で阪急の方が安く、またJR幹線と阪急の運賃を比較した場合では阪急が全ての距離で安い状態で、しかも国鉄が1978年7月8日の運賃改定時より設定し、JR化後も引継いでいる「大都市特定区間の運賃」(当初は、京阪間・阪神間のみ。1982年4月20日より東京圏・名古屋圏にも設定され、大阪圏では設定範囲を拡大)さえも、阪急で相当する区間の運賃よりもまだ高く、まさに「高いJR、安い阪急」の様相を呈していました。ただ、JRと阪急で対になる駅同士が必ずしも同距離ではないため、例えばJR大阪・阪急梅田を起点としたJR吹田(7.6km)と阪急吹田(9.1km)・相川(9.6km)の関係や、JR岸辺(10.0km)と阪急正雀(11.8km)の関係のように、阪急の方が運賃が高い区間もありました。

JRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:吹田・岸辺
阪急と同運賃の、JRの区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:千里丘・茨木

 1990年代に入ると、阪急が運賃値上げを行う一方、JRが行なわなかったこともあり、区間によっては、阪急の方が安かった運賃が同運賃に、あるいは阪急の方が高くなるケースが発生するようになりました。11km以上で「対キロ制」を採用する現在のJRの運賃体系では、中距離(16km)を超えると直線的に運賃がハネ上がっていくため、運賃逆転現象の夜明けは短距離区間に限られますが、1991年11月20日の阪急の運賃改定で1〜3・5〜10・15kmの運賃が、JR電車特定区間の運賃と並ぶか、あるいは阪急の方が高くなりました。同じく11〜14kmでも、阪急の方が10円安いだけです。またこの時、それまで阪急よりも高かった国鉄→JR西日本の「大都市特定区間の普通運賃」の中で、JR大阪〜摂津富田・高槻間の運賃がはじめて、阪急の同区間の運賃と同額になっています。さらに、それまで全距離で阪急の方が安かったJR幹線運賃との比較でさえ、10kmで阪急が10円高くなり、15kmで同額になりました。このときJRの方が安くなった区間を拾い出すと、JR大阪・阪急梅田を起点とした場合、それまでに既にJRの方が安かった区間に加えてJR新大阪−阪急南方や、JR千里丘−阪急南茨木、JR茨木−阪急茨木市などが挙げられます。

JRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:新大阪・吹田・岸辺・千里丘・茨木
阪急と同運賃の、JRの区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:摂津富田高槻

 1995年1月17日早朝、阪神・淡路大震災が発生しました。街をガレキの山へと一変させ、街の一部であった鉄路をズタズタに切り裂いたのは、記憶に新しいところです。不眠不休で街の、そして鉄路の復旧工事が行なわれた結果、街の復興にはまだまだ程遠いものの、同年4月1日にはJR在来線の線路が全てつながり、同年6月12日には阪急の線路も全てつながりました。そんな中、前回の運賃改定から3年が過ぎ、次の運賃改定の時期がやってきました。この運賃改定が阪急の鉄路の完全復旧直後(1995.9.1)に実施されたため、震災による負担を運賃に転嫁したかのように見えなくもないですが、当時広く一般に配布されていた阪急電鉄広報室(1995年2月)発行の「運賃改定申請にあたってのお願い(LINEA臨時号)」では、「……やむを得ず震災発生前の計算における収入不足に相当する増収率十五.三%の改定申請をさせて頂きました。」と説明し、乗客への理解を求めています。

 このとき実際に認可された運賃は、申請された運賃よりも低く抑えられましたが、JRが運賃改定を実施しなかったことから、短距離区間での運賃逆転はいよいよ本格的なものとなり、1〜15kmでJR電車特定区間運賃より阪急の方が安い距離は消滅し、JR幹線との比較でも5〜6kmで同額、1〜3・10・15kmで阪急の方が10〜20円高くなりました。また、前回の運賃改定で「大都市特定区間の普通運賃」としてはじめて阪急の同区間と同じ運賃となったJR大阪〜高槻間は、今回の運賃改定でとうとう逆転し、JRの方が安くなるはじめてのケースとなりました。この結果、JR大阪・阪急梅田を起点とした京都方面への普通運賃は、JR高槻・阪急高槻市まで(つまり、京都方面への大阪府内全域で)JRの方が安い区間が連続することとなり、阪急・JR両方を使える地域では「安くて速いJR」という印象を与えるようになりました。神戸方面でも大阪・梅田を起点とした場合、西宮市内へ入るあたりまではJRの方が安いのですが、ちょうど路線が比較的離れている区間であるため、京都方面ほどの影響はないようです。

JRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:新大阪・吹田・岸辺・千里丘・茨木・摂津富田高槻
阪急と同運賃の、JRの区間(大阪起点)
神戸方面:立花
宝塚方面:(なし)
京都方面:(なし)

 1997年4月1日には、両社とも運賃改定を実施していますが、これは消費税率改定(3%→5%)に伴うものです。全国の鉄道会社でも同時に運賃改定が実施されましたが、JR各社では、消費税導入時と異なり値上げ額が異なるケースが発生しました。例えば、首都圏と大阪圏に設定されている「電車特定区間の普通運賃」と「山手線内・大阪環状線内の普通運賃」の場合、11km以上に関しては「対キロ制」で、賃率から運賃を算出する計算式が定まっていますので同運賃になりましたが、そうではない10km以下の区間に関しては、1〜3kmではJR東日本が10円値上げ・JR西日本が据え置きなのに対して、4〜6km・7〜10kmではJR東日本が据え置き・JR西日本が10円値上げとなりました。

 また、JR西日本の「大都市特定区間の普通運賃」では、電車特定区間の31〜35kmの運賃と同額であったため歩調を合わせる形で値上げしたJR大阪を起点とした京都地区(向日町〜京都間)の運賃以外は、同じく高槻地区(摂津富田・高槻)・宝塚地区(中山寺・宝塚)・神戸地区(六甲道〜神戸)の全てで据え置かれています。特に宝塚地区では、それまではJR大阪を起点とした北伊丹・川西池田までの運賃が310円、同じく中山寺・宝塚までの運賃が320円だった運賃が、この消費税率改定に伴う運賃改定で北伊丹・川西池田までが10円値上げの320円、中山寺・宝塚までが据え置きの320円と、同額になりました。

JRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:立花
宝塚方面:(なし)
京都方面:新大阪・吹田・岸辺・千里丘・茨木・摂津富田高槻
阪急と同運賃の、JRの区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:(なし)

 このように、JR西日本では「特定区間の普通運賃」が設定されている200〜400円台の運賃は据え置かれましたが、一方JR東日本やJR東海の「特定区間の普通運賃」では同じ200〜400円台であっても軒並み値上げされたのと、非常に対称的です。JR西日本の運賃に対する考え方の一端が垣間見れるように思います(他にも、新幹線の隣接駅への自由席特急料金や、B特急料金でも、JR東日本・JR東海より安く設定されている区間があります)

一例 1989.4.1改定 1997.4.1改定
普通運賃 通勤定期 普通運賃 通勤定期
JR東日本
新宿〜八王子
450 13,600
38,750
65,260
460 13,860
39,500
66,530
JR東海
名古屋〜四日市
JR西日本
天王寺〜奈良
450 13,860
39,500
66,520

 一方、阪急も割高感のある1〜9kmや、梅田を起点としたとき高槻市・宝塚・岡本を抱える20〜26kmで運賃が据え置かれています。この結果、それまで15〜19kmが250円、20〜26kmが270円、27〜33kmが300円で、運賃の上がり方が20円・30円と比較的バランスが取れていましたが、この運賃改定で15〜19kmが10円値上げの260円、20〜26kmが据え置きの270円、27〜33kmが10円値上げの310円となったため、運賃の上がり方が10円・40円となり、バランスを崩しています。

 阪急・JR西日本ともに消費税率改定さえも味方につけ、優位に立とうとしたようにさえ見えてきます。


 話は少し変わりますが、ここで各距離における運賃改定率を比較してみます。一例として、阪急の1991年11月20日改定の運賃から、1995年9月1日改定の運賃への改定率を表にまとめてみました。

(下の表が読み込まれるまで、しばらくお待ちください。)

km 1〜4 5〜9 10〜14 15〜19 20〜26 27〜33 34〜42 43〜51 52〜60 61〜70 71〜76
1991.11.20改定(円) 120 160 200 230 250 280 320 350 410 470 560
1995.9.1改定(円) 150 180 210 250 270 300 350 380 440 500 590
改定率 25.0% 12.5% 5.0% 8.7% 8.0% 7.1% 9.4% 8.6% 7.3% 6.4% 5.4%

 やや波がありますが、総じて長距離ほど低い改定率になっていることがわかります。これは実際に認可された運賃ですが、申請された運賃はこれよりも高いものでした。そちらも表にまとめてみました。

km 1〜4 5〜9 10〜14 15〜19 20〜26 27〜33 34〜42 43〜51 52〜60 61〜70 71〜76
1991.11.20改定(円) 120 160 200 230 250 280 320 350 410 470 560
申請された運賃(1995年/円) 150 180 220 260 290 320 380 410 490 560 670
予定改定率 25.0% 12.5% 10.0% 13.0% 16.0% 14.3% 18.8% 17.1% 19.5% 19.1% 19.6%

 こちらも波がありますが、認可された運賃と比べて随分均一な予定改定率だったことが分かります。これは運賃の認可にあたって短距離の運賃は申請通りだったのに対して、中距離以上は値上げ幅がどうしても大きくなり一気に運賃が上昇する感が否めないことから意図的に抑えられたためですが、一見乗客に配慮したかのようなこうした意図的な操作の裏で、初乗り運賃の割高感がより一層増していくという現実もあります。

 もととなる運賃に4.5倍以上もの開きのある初乗り運賃(120円→150円)も最長距離の運賃(560円→590円)も、実際に認可されるにあたって同じ30円の値上げというのが本当に適切な値上げ幅なのかどうか、またこれまで同様の行為が繰り返されてきた結果としての現在の運賃が適当な運賃なのかどうか、歪んだ運賃体系ではないのか等、今一度よく検討されるべき時期に来ているように思います。


各種回数券の比較

 普通回数券は、基本的に両社とも「普通乗車券10枚分の運賃で11枚組」となっており、割引率は同一ですので、普通回数券運賃の推移と比較は、上記普通運賃の推移と比較に準じます。

 一方、JRのごく一部の区間では普通回数券が「普通乗車券9枚分の運賃で11枚組」で発売されていたり、加えて「昼間特割きっぷ(昼特)」が発売されていたり、また阪急他民鉄では「時差回数券(オフピークチケット)」「土休日回数券(サンキューチケット)」が発売されるなど、割引率や利用可能曜日・時間帯の異なる回数券が数種類存在し、多様なニーズに応えています。ここでは、現在発売されているそれらの回数券の「1枚あたりの実質運賃」を、主な区間で比較しようと思います。なお、1円未満の端数は、1円単位に繰り上げました。

 各回数券の使用可能な曜日・時間帯は以下の通りです。

JR−普通回数券 [11枚組、普通券10枚(一部区間は9枚)分の値段/3ヵ月間有効/区間制]
 毎日終日使用可能
JR西日本−昼間特割きっぷ [12枚組、駅間毎の値段設定/3ヵ月間有効/区間制]
 平日の10〜17時(時間内に改札)と、土・日・祝日・年末年始(12月30日〜1月3日)の終日に使用可能
阪急−普通回数券 [11枚組、普通券10枚分の値段/3ヵ月後の月末日まで有効/金額制]
 毎日終日使用可能
阪急−時差回数券 [12枚(ハーフ回数券は6枚)組、普通券10枚(同5枚)分の値段/3ヵ月後の月末日まで有効/金額制]
 平日の10〜16時(時間内に改札)と、土・日・祝日の終日に使用可能
阪急−土休日回数券 [14枚(ハーフ回数券は7枚)組、普通券10枚(同5枚)分の値段/3ヵ月後の月末日まで有効/金額制]
 土・日・祝日の終日に使用可能

大阪から、京都・宝塚・神戸方面へ

 まずは、JR大阪・阪急梅田から各方面への回数券についての比較です。なお、この表についてのみ、JRと阪急で比較的近接している駅を細かく対照させてありますので、ご参考までに。

(下の表が読み込まれるまで、しばらくお待ちください。)

JR西日本 阪急電鉄
1997.4.1改定 大阪 梅田 1997.4.1改定
普通回数券 きっぷ 土休日回数券 時差回数券 普通回数券



146
(160*10/11)
125
(1490/12)
新大阪 南方
(崇禅寺)
(淡路)
129
(180*10/14)
150
(180*10/12)
164
(180*10/11)
東淀川
155
(170*10/11)
(設定無し) 吹田 吹田[千里線]
相川
158
(220*10/14)
184
(220*10/12)
200
(220*10/11)
岸辺 正雀
191
(210*10/11)
150
(1800/12)
千里丘 南茨木 186
(260*10/14)
217
(260*10/12)
237
(260*10/11)
167
(2000/12)
茨木 茨木市
228
(250*10/11)
197
(2360/12)
摂津富田 富田 193
(270*10/14)
225
(270*10/12)
246
(270*10/11)
高槻 高槻市
410
(450*10/11)
272
(3260/12)
山崎 大山崎 222
(310*10/14)
259
(310*10/12)
282
(310*10/11)
442
(540*9/11)
306
(3670/12)
長岡京 長岡天神 258
(360*10/14)
300
(360*10/12)
328
(360*10/11)
向日町 東向日
西大路 西院 279
(390*10/14)
325
(390*10/12)
355
(390*10/11)
京都 大宮
烏丸
河原町



210
(230*10/11)
150
(1800/12)
塚口 塚口[神戸線] 158
(220*10/14)
184
(220*10/12)
200
(220*10/11)
猪名寺 稲野[伊丹線]
伊丹 伊丹[伊丹線]
291
(320*10/11)
160
(1920/12)
北伊丹
173
(2070/12)
川西池田 川西能勢口
雲雀丘花屋敷
186
(260*10/14)
217
(260*10/12)
237
(260*10/11)
(設定無し) 中山寺 中山 193
(270*10/14)
225
(270*10/12)
246
(270*10/11)
197
(2360/12)
宝塚 宝塚



146
(160*10/11)
125
(1490/12)
塚本 (十三) 108
(150*10/14)
125
(150*10/12)
137
(150*10/11)
155
(170*10/11)
尼崎 (園田) 129
(180*10/14)
150
(180*10/12)
164
(180*10/11)
191
(210*10/11)
141
(1690/12)
立花 武庫之荘 158
(220*10/14)
184
(220*10/12)
200
(220*10/11)
159
(1900/12)
甲子園口
264
(290*10/11)
西ノ宮 西宮北口 186
(260*10/14)
217
(260*10/12)
237
(260*10/11)
180
(2160/12)
芦屋 芦屋川 193
(270*10/14)
225
(270*10/12)
246
(270*10/11)
311
(380*9/11)
215
(2580/12)
甲南山手
摂津本山
岡本
232
(2780/12)
住吉 御影
320
(390*9/11)
236
(2830/12)
六甲道 六甲 222
(310*10/14)
259
(310*10/12)
282
(310*10/11)
王子公園
三ノ宮
元町
三宮
普通回数券 きっぷ 大阪 梅田 土休日回数券 時差回数券 普通回数券

 基本的に回数券は、普通運賃を基に設定されるものなので、普通運賃の比較と大差ないのですが、その中で目を引くのがJR西日本の「昼きっぷ」です。回数券のような形態をとっていますが、「普通券 × 枚数(乗車回数)」という値段設定ではありませんし、発売エリアや発売区間が限定されているうえ、普通運賃の距離区分とは必ずしも一致していません。それもそのはず、大判時刻表のピンク色のページにある「営業案内」を見ると、「トクトクきっぷ」の項に掲載されていることからも分かるように「企画乗車券」の一種なのです(券面にも、「青春18きっぷ」などでお馴染みの、企画乗車券を示す(企)印が見られます)。JRの普通運賃が中距離以上で直線的に急上昇するのとは対称的に「昼特」では緩やかに上昇していますし、それほど荒いとはいえない普通運賃の距離区分よりもさらに細かく値段を違えてあることもあって、普通運賃に対する割引率も約17〜46%と区間によってバラツキがあるなど、企画乗車券らしさが見られます。

 なお、「昼特」は、「大阪⇔○○」「北新地⇔○○」「京都⇔○○」「元町・三ノ宮⇔○○」といった券面のもののみが存在します(三ノ宮発の昼特は、元町からも利用できます)。また、同じアーバンネットワーク内の幹線でも、大阪環状線や大和路線(関西本線)、阪和線などには設定されていません。価格や区間設定から、関西民鉄で最も低廉な運賃レベルである阪急・阪神への対抗策として設定されたものであることが鮮明に浮かび上がってきます。

 「昼きっぷ」は当初、並行民鉄と比較して国鉄の普通運賃が極端に高かったことから閑散としがちな昼間時間帯の活性化を目的として、少しでも運賃格差を縮めるべく、1983年6月15日に昼間時間帯のみ利用可能な乗車券として、当時の国鉄大阪鉄道管理局より発売されました。そして、JR西日本発足直後の1987年8月1日と同年12月1日に続けて設定区間が順次拡大され、またそれまでの利用時間帯に加えて土・日・祝日・年末年始は終日利用可能になるなど、大きく成長していきました。

 また、「昼特」の影に隠れがちですが、京阪間・阪神間などJRの割高感が目立つ区間では、「昼特」設定に先立ち1981年4月20日の運賃改定時より「普通乗車券9枚分の値段で11枚組」で普通回数券が発売されるなど、少しでも価格競争力を保つべく対策が取られています。尤も、中距離以上の区間で見られる現状の運賃差では「焼け石に水」っぽいです。


 一方、阪急は、全種類の回数券が普通運賃を基にしていて、割引率は普通回数券が9.1%、時差回数券が16.7%、土休日回数券が28.6%と、種類毎に一定になっています。

 「時差回数券」「土休日回数券」は、1995年9月1日の運賃改定にあわせて設定されました。「時差回数券」は設定当初、平日の10〜16時に改札を受けた場合に限り使用可能で、土・日・祝日は使用できませんでしたが、阪急では1998年12月26日より現在の使用可能日・時間帯(平日の10〜16時と、土・日・祝日の終日使用可能)に改められ、またお盆の時期や年末年始に土曜ダイヤ・休日ダイヤで運行される日についても「時差券」「土休券」が利用できるようになりました。


 こうして全く別の生い立ちを歩んできた両社の特別割引回数券ですが、現時点での「昼特」と「土休券」の一枚あたりの実質価格が、両社の対になる区間で似通っているのは、非常に興味深いところです。


京都から、大阪方面へ

 次に、JR京都・阪急烏丸から大阪方面への回数券についての比較です。

(下の表が読み込まれるまで、しばらくお待ちください。)

JR西日本 阪急電鉄
1997.4.1改定 京都 烏丸 1997.4.1改定
普通回数券 きっぷ 土休日回数券 時差回数券 普通回数券



155
(170*10/11)
(設定無し) 向日町 東向日
長岡天神
158
(220*10/14)
184
(220*10/12)
200
(220*10/11)
191
(210*10/11)
160
(1910/12)
長岡京
(設定無し) 山崎 大山崎 186
(260*10/14)
217
(260*10/12)
237
(260*10/11)
346
(380*10/11)
216
(2590/12)
高槻 高槻市 193
(270*10/14)
225
(270*10/12)
246
(270*10/11)
242
(2900/12)
摂津富田 富田
茨木市
南茨木
222
(310*10/14)
259
(310*10/12)
282
(310*10/11)
410
(450*10/11)
272
(3260/12)
茨木
442
(540*9/11)
306
(3670/12)
千里丘
岸辺
吹田
東淀川
新大阪
大阪
正雀
相川
淡路
崇禅寺
258
(360*10/14)
300
(360*10/12)
328
(360*10/11)
吹田[千里線]
南方
梅田
279
(390*10/14)
325
(390*10/12)
355
(390*10/11)

 京都市内では、両社の線路は離れており、またターミナルの位置も全く異なるので、基本的には棲み分けの状態になっています。また、道路事情が不安定な京都市内中心部ではバスでの連絡は全くアテになりませんので、より目的地の近くまで路線を伸ばしている鉄道が使われるケースが多いです。

 そんな中で、京都市内中心部を縦断する京都市営地下鉄烏丸線は、阪急とJRを串刺しにしていることもあって、乗り継いでJR大阪・阪急梅田へ向かう際に選択の余地が発生します。また、地下鉄の運賃体系は、3kmまでが初乗り運賃で、その後4km毎に運賃が上昇していきますが、地下鉄四条〜京都間の営業キロは1.8kmなので、四条まででも京都まででも同じ運賃の駅が存在します。



北←  烏丸線  →南 西←  東西線  →東















































四条〜 260 230 200 200 230 200 230 260 290
京都〜 260 230 200 200 230 230 200 230 260 290

 駅名に色を付けたところが、京都まででも四条まででも同運賃の駅なのですが、山科区内(御陵以東)から大阪方面へ出る時には山科でJRに乗り換えるでしょうし、蹴上を除く山科区以外にある東西線の駅は、全て歩いて阪急・京阪の駅まで行ける距離にあります(山科・二条からは直接JRにも乗れます)。また、九条以南から大阪方面へ出る場合、四条から阪急経由では大回りになりすぎますし、京都までであれば地下鉄と沿うように走る近鉄京都線の方が運賃が安い(京都〜上鳥羽口まで150円、京都〜竹田200円)こともあって、地下鉄はあまり使われていません。

 ということで、実質的に比較の対象となるのは、丸太町以北の各駅ということになるでしょうか。地下鉄の運賃に大差ありませんし、JR京都〜大阪間の「昼特」と阪急烏丸〜梅田間の「土休券」「時差券」との差もあまり無く、似たり寄ったりの運賃になりそうです。尤も、今出川〜五条あたりであれば、目的地によっては直接出町柳〜京阪五条へ出て京阪に乗る方が運賃や所要時間でメリットがある場合もあります。

 ちなみに、京都市営地下鉄の定期運賃は、普通運賃と同じ「対キロ区間制」なので、普通運賃が同額の区間は、定期運賃も同額です。


三ノ宮から、大阪方面へ

 続いて、JR三ノ宮・阪急三宮から大阪方面への回数券についての比較です。

(下の表が読み込まれるまで、しばらくお待ちください。)

JR西日本 阪急電鉄
1997.4.1改定 三ノ宮 三宮 1997.4.1改定
普通回数券 きっぷ 土休日回数券 時差回数券 普通回数券



110
(120*10/11)
107
(1280*12)
王子公園 108
(150*10/14)
125
(150*10/12)
137
(150*10/11)
146
(160*10/11)
125
(1490*12)
六甲道 六甲
御影
岡本
129
(180*10/14)
150
(180*10/12)
164
(180*10/11)
155
(170*10/11)
住吉
摂津本山
141
(1690/12)
甲南山手
191
(210*10/11)
芦屋 芦屋川 158
(220*10/14)
184
(220*10/12)
200
(220*10/11)
264
(290*10/11)
159
(1900/12)
西ノ宮
甲子園口
西宮北口
186
(260*10/14)
217
(260*10/12)
237
(260*10/11)
215
(2580/12)
立花 武庫之荘
塚口
園田
稲野[伊丹線]
伊丹[伊丹線]
193
(270*10/14)
225
(270*10/12)
246
(270*10/11)
311
(380*9/11)
尼崎
437
(480*10/11)
(設定無し) 塚口[JR宝塚線]
猪名寺[JR宝塚線]
伊丹[JR宝塚線]
320
(390*9/11)
236
(2830/12)
塚本
大阪・北新地
十三
梅田
222
(310*10/14)
259
(310*10/12)
282
(310*10/11)

 三ノ宮発の「昼特」は元町でも利用できます。券面は「元町・三ノ宮⇔○○」となっています。

 神戸方面に関しては、表の通りなのですが、一つ不思議なのが、JR三ノ宮〜灘間の「昼特」。普通回数券でも「昼特」でも一枚当たりの実質運賃はほとんど変わりません。……と思って、改めて時刻表などをよく見てみると、JR元町・三ノ宮からの「昼特」の価格区分は、JR元町からの普通運賃の距離区分と六甲道を除いて一致しており、どうやらJR元町を基準に価格設定してあるようです。

元町〜 三ノ宮 六甲道 住吉
摂津本山
甲南山手
芦屋
西ノ宮
甲子園口
立花
尼崎
塚本
大阪・北新地
昼特 1280円 1490円 1690円 1900円 2580円 2830円
普通運賃 1〜3km
120円
4〜6km
160円
7〜10km
170円
11〜15km
210円
16〜20km
290円
21〜25km
380円
特定
390

 神戸方面の特徴というと、「特定区間の普通運賃」では大阪を起点にして(六甲道から)神戸までが対象なのに対して、「昼きっぷ」では同じく元町までである点でしょう。JR大阪〜神戸間は、阪急・阪神では梅田〜高速神戸間に相当しますが、この区間では阪急・阪神と神戸高速鉄道の運賃の合算となることもあって、現在では「昼きっぷ」の力を借りなくてもJRには運賃面で価格競争力があります。また、消費税導入直後までは、それでもまだ「国鉄(→JR西日本)」より「阪急or阪神+神戸高速鉄道」の運賃の方が安かったのですが、その当時は神戸地区の民鉄に連絡回数券が無かった(阪急と神戸高速の連絡回数券は1993年12月1日から発売。その後、神戸高速を経由する阪急・神鉄・山電相互間の連絡回数券は1999年10月1日から発売)ため、普通回数券としての割引以上の特別な割引を必要としていなかったものと思われます。

 とはいえ、大阪を起点に見ると、三ノ宮・元町では「昼きっぷ」(2830/12=236円)が使える曜日・時間帯であっても、次の神戸では「大都市特定区間の運賃」かつ「9枚分の運賃で11枚組」の普通回数券(390*9/11=320円)になり、さらにその次の兵庫になると通常の普通回数券のみ(540*10/11=491円)と、一気に大きな差がついてしまっています。大阪から各駅への営業キロは、三ノ宮まで30.6km・元町まで31.4km・神戸まで33.1km・兵庫まで34.9kmと、本来であれば全て31〜35kmの運賃区分(540円)に含まれ、回数券1枚当たりの実質運賃も同じになるところですが、並行民鉄との競合関係を意識した数々の施策によって作り出された「一駅違いが大違い」の不公平感は、否めないところです。


通勤定期運賃の推移と比較

 普通運賃と同じ期間の通勤定期運賃の推移と比較です。

 なお、黒数字は通勤1ヵ月定期運賃、青数字は通勤3ヵ月定期運賃、赤数字は通勤6ヵ月定期運賃です。

(下の表が読み込まれるまで、しばらくお待ちください。)

JR西日本

(km)
阪急電鉄
大阪駅から
同運賃の駅
通勤定期運賃(円) 通勤定期運賃(円) 梅田駅から
同運賃の駅
1997.4.1改定 1989.4.1改定 1989.
4.1
改定
1991.
11.20
改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定
電特 幹線 電特 幹線
3,780
10,780
18,150
4,410
12,570
21,160
3,710
10,570
17,800
4,330
12,330
20,760
1 2,470
7,040
13,340
3,200
9,120
17,280
3,900
11,120
21,060
3,960
11,290
21,390
中津
2 2,830
8,070
15,290
3,600
10,260
19,440
4,350
12,400
23,490
4,420
12,600
23,870
3 3,190
9,100
17,230
4,000
11,400
21,600
4,800
13,680
25,920
4,880
13,910
26,360
十三
塚本
新大阪
-
4,730
13,470
22,680
5,350
15,270
25,700
4,640
13,210
22,250
5,250
14,980
25,210
4 3,500
9,980
18,990
4,400
12,540
23,760
5,250
14,970
28,350
5,340
15,220
28,840
-
南方
-
-
東淀川
-
5 3,800
10,830
20,520
4,750
13,540
25,650
5,700
16,250
30,780
5,810
16,560
31,380
神崎川
-
三国
6 4,110
11,720
22,200
5,100
14,540
27,540
6,150
17,530
33,210
6,260
17,850
33,810
-
崇禅寺
庄内
5,040
14,360
24,190
5,670
16,160
27,220
4,940
14,090
23,730
5,560
15,850
26,700
7 4,370
12,460
23,600
5,450
15,540
29,430
6,550
18,670
35,370
6,670
19,010
36,020
-
淡路
-
尼崎
吹田
-
8 4,630
13,200
25,010
5,800
16,530
31,320
6,950
19,810
37,530
7,080
20,180
38,240
園田
-
服部
9 4,880
13,910
26,360
6,100
17,390
32,940
7,300
20,810
39,420
7,440
21,210
40,180
-
上新庄
曽根
-
岸辺
-
10 5,140
14,650
27,760
6,400
18,240
34,560
7,650
21,810
41,310
7,790
22,210
42,070
-
相川・吹田
岡町
立花
-
塚口
6,300
17,950
30,240
6,930
19,750
33,260
6,180
17,610
29,660
6,800
19,370
32,630
11 5,400
15,390
29,160
6,700
19,100
36,180
7,950
22,660
42,930
8,100
23,090
43,740
塚口
-
豊中
-
千里丘
猪名寺
12 5,650
16,110
30,510
6,950
19,810
37,530
8,230
23,460
44,450
8,380
23,890
45,260
稲野
正雀
蛍池
甲子園口
-
-
13 5,910
16,850
31,920
7,200
20,520
38,880
8,480
24,170
45,800
8,640
24,630
46,660
武庫之荘・新伊丹
-
-
-
-
伊丹
14 6,120
17,450
33,050
7,450
21,240
40,230
8,730
24,890
47,150
8,890
25,340
48,010
伊丹
-
石橋
-
茨木
-
15 6,320
18,020
34,130
7,700
21,950
41,580
8,940
25,480
48,280
9,110
25,970
49,200
西ノ宮
-
北伊丹
8,820
25,140
42,340
 
 7,560
21,550
36,290
9,450
26,930
45,360
8,650
24,660
41,530
 
 7,420
21,140
35,600
9,270
26,420
44,500
16 6,530
18,620
35,270
7,900
22,520
42,660
9,150
26,080
49,410
9,320
26,570
50,330
西宮北口
南茨木
池田
17 6,730
19,190
36,350
8,100
23,090
43,740
9,360
26,680
50,550
9,540
27,190
51,520
18 6,940
19,780
37,480
8,300
23,660
44,820
9,550
27,220
51,570
9,730
27,740
52,550
-
茨木市
川西能勢口
-
摂津富田
川西池田
19 7,150
20,380
38,610
8,500
24,230
45,900
9,730
27,740
52,550
9,910
28,250
53,520
夙川
総持寺
雲雀丘花屋敷
芦屋
-
-
20 7,350
20,950
39,690
8,700
24,800
46,980
9,910
28,250
53,520
10,100
28,790
51,510
-
富田
山本
km
1997.4.1改定 1989.4.1改定 1989.
4.1
改定
1991.
11.20
改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定
電特 幹線 電特 幹線
甲南山手
-
-
11,340
32,320
54,440
 
 7,560
21,550
36,290
11,970
34,110
57,450
 
 9,760
27,840
46,870
11,120
31,700
53,400
 
 7,420
21,140
35,600
11,740
33,460
56,360
 
 9,580
27,310
45,980
21 7,560
21,550
40,830
8,900
25,370
48,060
10,090
28,760
54,490
10,280
29,300
55,520
芦屋川
-
-
-
高槻
-
22 7,760
22,120
41,910
9,100
25,940
49,140
10,270
29,270
55,460
10,460
29,820
56,490
-
-
中山
摂津本山
-
中山寺
23 7,950
22,660
42,930
9,300
26,510
50,220
10,450
29,790
56,430
10,650
30,360
57,510
-
高槻市
売布神社
住吉
-
-
24 8,130
23,180
43,910
9,500
27,080
51,300
10,630
30,300
57,410
10,830
30,870
58,490
岡本
-
清荒神・宝塚
25 8,320
23,720
44,930
9,700
27,650
52,380
10,810
30,810
58,380
11,010
31,380
59,460
六甲道
-
宝塚
13,300
37,910
65,020
 
11,960
34,100
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 9,760
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 9,580
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御影
-
-
13,550
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65,020
 
11,960
34,100
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62,480
六甲
上牧
-

山崎
-
29 9,060
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48,930
10,500
29,930
56,700
11,530
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-
水無瀬
-
30 9,240
26,340
49,900
10,700
30,500
57,780
11,710
33,380
63,240
11,930
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64,430
王子公園
-
-
三ノ宮
-
-
15,410
43,940
77,110
 
11,960
34,100
57,450
16,320
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15,120
43,100
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11,740
33,460
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16,010
45,620
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26,880
50,930
10,900
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64,210
12,120
34,550
65,450
春日野道
大山崎
-
元町
-
-
15,830
45,130
77,110
 
11,960
34,100
57,450
16,760
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15,530
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11,740
33,460
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-
長岡京
-
16,070
45,790
77,110
 
11,960
34,100
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17,000
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15,760
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11,740
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11,300
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12,250
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12,480
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67,400
三宮
-
-
神戸
-
-
34 9,940
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11,500
32,780
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-
長岡天神
-
17,430
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-
西向日
-
-
向日町
-
17,840
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16,070
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-
東向日
-
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38,420
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13,740
39,160
74,200
km
1997.4.1改定 1989.4.1改定 1989.
4.1
改定
1991.
11.20
改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定
電特 幹線 電特 幹線
-
西大路
-
19,360
55,190
99,790
 
16,070
45,790
77,110
20,490
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15,760
44,920
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-

-
19,650
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京都
-
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16,070
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-
西京極
-
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-
西院・嵐山
-
-
丹波口
-
20,720
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-
大宮
-
-
二条
-
21,000
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烏丸
-
21,330
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河原町
-
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15,570
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15,870
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-
嵯峨嵐山
-
23,630
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1997.4.1改定 1989.4.1改定 1989.
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改定
1991.
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改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定
電特 幹線 電特 幹線
26,410
75,290
142,670
27,950
79,670
150,930
25,910
73,860
139,950
27,420
78,150
148,060
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37,200
70,470
15,850
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16,910
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33,630
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35,590
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17,750
50,590
95,850
18,670
53,210
100,820
19,030
54,240
102,770
km
1997.4.1改定 1989.4.1改定 1989.
4.1
改定
1991.
11.20
改定
1995.
9.1
改定
1997.
4.1
改定
電特 幹線 電特 幹線
34,890
99,440
188,420
36,910
105,220
199,370
34,230
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36,210
103,220
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19,130
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35,330
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34,630
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104,420
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17,950
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18,870
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19,230
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103,850
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198,070
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55,690
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52,300
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104,060
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55,980
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198,070
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38,720
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116,780
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18,950
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102,330
19,870
56,630
107,300
20,250
57,720
109,350

 阪急の通勤定期券のうち、3ヵ月定期券は「1ヶ月定期運賃×3−5%(1ヵ月定期運賃の2.85倍)」の値段、6ヶ月定期券は「1ヵ月定期運賃×6−10%(1ヵ月定期運賃の5.4倍)」の値段(それぞれ、10円未満の端数を切り上げ)となっています。

 JRの通勤定期券も、3ヵ月定期は概ね「1ヵ月定期運賃×3−5%」程度の値段ですが、6ヶ月定期券だけは、ある一定の距離のあいだ値段が変わらないケース(例えば、85〜90km)が多々あります。また、45kmまでのJRの6ヶ月定期運賃は、民鉄のそれより割引率が高く、1ヵ月定期運賃の5倍に満たないケースがほとんどです。そのため、特に定期運賃が拮抗している短距離区間において、1ヶ月定期・3ヵ月定期では阪急の方が安くても、6ヶ月定期ではJRの方が安いケースが多発しています。


 1989年4月1日の運賃改定時点では、普通運賃と同様、通勤定期運賃(以下、「定期運賃」「定期券」は、それぞれ「通勤定期運賃」「通勤定期券」を指すものとします)も総じて阪急の方が安く、JRの方が安い区間はごく一部に限られていました。JR電車特定区間との比較で阪急の方が高いのは、8・9・12〜14kmの6ヶ月定期券と、10・15kmの全定期券(1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月定期券)だけです。この時、普通運賃で阪急の方が高かったのは10・15kmのみでしたから、JRの6ヶ月定期券の割引率の高さが影響していることがわかります。また、普通運賃ではまだJRの方が高かった「大都市特定区間の運賃」でも、大阪〜摂津富田が6ヶ月定期券で、大阪〜高槻が全定期券で、JRの方が安くなっていました。

全定期券でJRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:(なし)
宝塚方面:(なし)
京都方面:吹田・岸辺・千里丘・茨木・高槻
6ヵ月定期のみJRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:立花・甲子園口
宝塚方面:猪名寺・伊丹
京都方面:摂津富田

 1991年11月20日の阪急の運賃改定に向けての申請は、普通運賃の改定率(18.8%)より、定期運賃の改定率(21.1%)が高く設定され、定期運賃の普通運賃に対する割引率が幾分下げられる(44.9%→43.6%)内容でした。その後、実際に運賃が認可された際には、普通運賃は毎度のことながら申請よりも改定額が圧縮された対して、定期運賃は申請通りに認可されました。その結果、認可された定期運賃の普通運賃に対する割引率は、改定前よりも一気に4%も下がり、40.9%となりました。余談ですが、この割引率低下に伴って、週に五日出勤し、我が家と勤務先との往復だけに鉄道を利用するような場合には、普通回数券を使った方が安くなるケースが発生し、定期券利用から回数券利用へシフトする動きが出てきました。その後の週休二日制の普及によって、この動きにさらに拍車がかかることになります。

 この運賃改定と大幅な割引率の低下によって、改定を実施していなかったJRの通勤定期運賃との逆転現象が一気に進み、2・4・16〜19kmの6ヶ月定期券と、3・5〜15・20kmの全定期券でJR電車特定区間の方が安くなりました。つまり、6ヶ月定期券については、2〜20kmまでの区間で、JRの方が安くなることになります。また、ここで注目されるのは「大都市特定区間の運賃」が設定されている大阪〜三ノ宮や、大阪〜宝塚間の定期運賃です。それまでは阪急の方が全定期券で安かったものが、この改定で1ヶ月定期券・3ヶ月定期券は辛うじて阪急が安いままだったものの、6ヶ月定期券は逆転しました。そのため、それまで明石方面あるいは三田方面から大阪梅田へ通勤する場合に、三ノ宮・宝塚でJRの定期券を打切って、それ以東は阪急の定期券を使う方が、かえって定期代が安くつく場合が少なからずあり、また実際に乗り換える人の姿が見かけられましたが、この運賃改定によって、6ヵ月定期に関しては、むしろ全行程JRを利用し、神戸・宝塚で定期券を分割した方が安くなっています。また、大阪〜摂津富田は全定期券ともJRの方が安くなり、大阪〜京都でも6ヵ月定期は阪急梅田〜烏丸・河原町より安くなりました。

全定期券でJRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:立花・甲子園口・芦屋
宝塚方面:猪名寺・伊丹
京都方面:吹田・岸辺・千里丘・茨木・摂津富田高槻
6ヵ月定期のみJRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:西ノ宮・住吉・三ノ宮
宝塚方面:塚口・川西池田・中山寺宝塚
京都方面:新大阪・京都

 1995年9月1日の阪急の運賃改定に向けての申請でも、普通運賃の改定率(15.7%)より、定期運賃の改定率(20.2%)が高く設定され、定期運賃の普通運賃に対する割引率は下げられる(40.9%→37.9%)内容でした。運賃が認可された際には、前回と異なり、普通運賃・定期運賃ともに改定額が圧縮されましたが、普通運賃の改定率(11.3%)より、定期運賃の改定率(15.6%)の方が高く認可されたため、定期運賃の普通運賃に対する割引率は下がっています。

 この運賃改定で、逆転現象はさらに一層進み、21〜25kmの6ヶ月定期券と、1〜20kmの全定期券で、JR電車特定区間の方が安くなっています。また、前回6ヶ月定期券のみ逆転した大阪〜三ノ宮や大阪〜宝塚の定期運賃も完全に逆転し、全定期券でJRの方が安くなりました。このため、大阪〜甲南山手・摂津本山・住吉・六甲道が6ヵ月定期のみJRが安いほかは、大阪を起点に三ノ宮までの各駅で、また同じく宝塚までの各駅でも、全定期券ともJR定期運賃が安くなっています。この段階で阪急平野は、完全に逆転現象に包囲されました。

全定期券でJRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:立花・甲子園口・西ノ宮・芦屋・三ノ宮
宝塚方面:塚口・猪名寺・伊丹・川西池田・中山寺宝塚
京都方面:新大阪・吹田・岸辺・千里丘・茨木・摂津富田高槻
6ヵ月定期のみJRが安い区間(大阪起点)
神戸方面:甲南山手・摂津本山・住吉・六甲道
宝塚方面:(なし)
京都方面:山崎・西大路京都

 1997年4月1日には、両社ともに運賃を改定していますが、これは消費税率の改定(3%→5%)に伴うもので、消費税加算前の運賃に5%を加えた金額となっています。よって、前回の運賃改定から形勢に全く変化はありません。このとき改定された定期運賃に関しては、「定期運賃の比較(関西版)」で取り上げましたので、そちらもあわせてご覧ください。


路線競合と運賃逆転現象

 1987年のJR発足後、関西エリアではJR西日本の一人勝ちと評される昨今ですが、1990年代に入ってからの、関西の鉄道を取り巻く環境の変化としては…

  1. 既存の住宅地の成熟(1970年代にニュータウンなどに入居した30代・40代の人が、リタイアしつつあった)
  2. 郊外の新興住宅建設の活発化(1.と関連して、その独立した子供やニューカマーが郊外に居を構えるケースが増えた)
  3. 大学の郊外移転(京阪神の市街地から、滋賀県や京都府南東部・兵庫県西部・同三田方面へ)

…など、都市間だけでなく、都心から郊外へと続く路線を持つJRに追い風が吹く環境が整いつつありました。この傾向は、なにもJRに限ったことだけではなく、阪急宝塚線のダイヤを例にとると、箕面線直通の準急が大幅に本数を減らし、残った準急もラッシュ時のピーク時間帯を外される一方、日生エクスプレスは増発や運転間隔の適正化などが行なわれた、という現象にも見られます。

 また、「阪急の(阪神間)直通客はかつて年間1200〜1300万人あったものが今は1000万人ぐらいになっています。10年ぐらいの長い期間で見ると500万人近く減っているかもしれません(鉄道ピクトリアル 1998.12臨時増刊号 P.19)」が、もし「有史以来の輸送人員を記録し(同書 P.16)」た1991年度(約8億1000万人)に阪神間直通客が1300万人いたとしても全体の約1.6%に過ぎません。神戸・宝塚・京都の各線系統でおおよそ輸送人員は三分されますが、それでも計算上は今津線・甲陽線・伊丹線を含む神戸線系統の輸送人員の5%程度を占めるに過ぎません。JRの駅とまさに隣接し、阪急の乗降客数ランキングで万年1位・長らく2位を占める梅田・三宮間でさえ、この程度の数値であることから、「競合」が両社に与える影響は、路線や駅の近接具合と比較して、必ずしも大きいとはいえないようです。


 さて、鉄道ピクトリアル1998年12月号 P.23の図-2であったり「JR西日本ホームページ → 企業概要 → データで見るJR西日本 → 鉄道事業 → 輸送」に掲載されているJR西日本(在来線)の輸送人員に関するデータや、鉄道ピクトリアル1998年12月臨時増刊号 P.28の表-2に掲載されている阪急の輸送人員のデータを比較すると、1992〜1995年こそJRが輸送人員を増やし、民鉄が減らしていたものの、それ以外は共に増えるか減るかしていたことが読み取れます。また、阪急では「輸送人員全体としては1991年をピークに減少に転じたわけですが、阪急の場合はその後も定期外旅客は僅かとはいえ右肩上がりでした。1996年度は定期外旅客が…<中略>…開びゃく以来のピークを記録し(同書 P.16)」ており、一方的な「阪急の乗客減と、JRの乗客増」という単純な構図ではなかったようです。しかも、1996年度は(おそらく1995年度も)「復興要員によるある種の特需(同書 P.16)」で、「災害復興要員の利用が多かったことも定期外旅客が増えた要因(同書 P.17)」だったので除外するとしても、1992〜94年は、総輸送人員が減り、定期客が減る一方、定期外客に関しては増えていたことになります。

 このように、決して形勢が一方的ではなかった上に、定期客と定期外客とで異なる反応を示す現象を、定期客・定期外客に関係無く提供される車両やダイヤで説明するのは無理があるのではないか、と思ったのが、運賃の比較への第一歩でした。改めて考えてみると…

  1.  昔から国鉄(JR)の方がクロス車が多く走っていたにもかかわらず、(京阪間特急以外は)ロング車ばかりの民鉄が優位だった
  2.  昔からラッシュ時・データイムに関らず国鉄(JR)の方が速かった(早かった)にもかかわらず、遅い民鉄が優位だった
  3.  明石・三田方面から大阪梅田へは、国鉄(JR)に乗り通せばクロス車があり所要時間も短く、また乗換えの必要が無いにもかかわらず、わざわざそれぞれ三ノ宮・宝塚で降りて、ロング車ばかりで遅い民鉄へと乗り換えていた
  4.  転換クロスが好評だとはいうものの、新快速が153系から117系に置換わった時に、乗客が急増したわけではなかった

…などなど、JR化後の「常識」とはかけ離れた、にわかには信じられないような現象が多く見られました。当時は決して「転換クロスであること」「所要時間が短いこと」が利用を促進する主因ではなかったことになります。そのため、現在のJRの好調を車両面やダイヤ面から説明するには、どこかで乗客の意識が「昔はロングでもよかったけど、今はクロスの方がいい」「昔は遅くてもよかったけど、今は早い方がいい」というように、180度転換している事を、何らかの形で明確に示さなければならなくなります。また、JRに関しては、京阪神間のデータイムのダイヤは国鉄末期から実質的にほとんど変わっていませんし、大阪から神戸・宝塚・京都方面の各駅停車は現在でも国鉄型車両ばかりですが、それでも輸送人員は増えたことから、やはり車両面やダイヤ面からはJRの好調を説明できません。

 しかし、運賃の比較と、そこから導き出される運賃逆転現象を使えば、少なくともこの10年間は、「運賃」を基準とした比較で説明が可能です。1991年や1995年に見られる輸送人員増減の傾向に関する大きな変化や、阪急における定期客と定期外客の増減に関する傾向の違いなど、阪急他民鉄の運賃改定時期や、それに伴う運賃逆転現象との関連が見られます。

 このことから、本稿では、『必ずしも大きなウェイトを占めている訳ではない「競合」にとって、最も大きな影響を及ぼすのは第一に「運賃」であり、運賃差が小さい時にダイヤ面や車両面でのサービスレベルが影響を及ぼす』と結論付けたいと思います。

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