2002年11月23日(土・祝)
地球温暖化の影響からか、関西地方では近年、11月後半〜12月前半に紅葉のシーズンをむかえるようになっています。それに対応するように、2002年には、臨時特急「いい古都エクスプレス」運行を柱とする阪急京都線の臨時ダイヤ適用日が、11月23日(土・祝)・24日(日)・30日(土)・12月1日(日)に設定されました。
前回「臨時特急のない行楽シーズン、乗車率レポート」と題して、通常の土曜・休日ダイヤでの行楽輸送の様子をレポートしたのに続いて、今回は臨時ダイヤでの行楽輸送の様子をレポートします。
付録以外の全ての写真について、撮影場所は阪急京都本線の長岡天神〜大山崎、撮影日は2002年11月23日(土・祝)、撮影者はFair_Fareです。当日の天候は、晴れでした。
被写体は、各列車を比較するときの都合と、見た目のわかりやすさから、梅田方の先頭車と隣接車両で統一しております。列車は、全て河原町ゆきで、写真に向かって右から左へと走っています。
なお、太陽のあたる側(午前中なので、線路の東側)は、ほとんどブラインドが上げられていて車内の様子がわからないことから、反対側から逆光の状態で撮影しております。そのため、写真が全体的に不鮮明になっております。あらかじめご了承ください。
この時間帯は、10分パターンダイヤに移行する前の、15分パターンの時間帯で、写真は上から快速特急・快速急行・普通です。茨木市で普通が快速特急を待避し、高槻市で普通と快速急行が接続しています。
快速特急は若干の余裕を残していますが、かなりの混雑です。快速急行は、座っている人のほうが多いです。
この日一本目の上り特急は、クリスマス用のラッピングが施された6330Fでした。窓が曇って車内がよく見えませんが、先の快速特急以上の乗車率です。
下の写真は普通です。時刻表を見る限り、富田で特急を待避している列車のようです。
続いて来た特急は、紅葉のラッピングが施された6356F。通路が立客でほぼ埋まっています。
下の写真は、急行です。以後、一組2列車の項は、上の写真が特急、下の写真がその特急と高槻市で接続をとった急行の組み合わせになります。
ここから臨時特急「いい古都エクスプレス」の運行が始まります。編成全体を見通すと、他の種別はほぼ均等な乗車率でしたが、臨時特急「いい古都エクスプレス」は梅田方の車両ほど乗車率が高くなる傾向にありました。写真を見ても、梅田方の先頭車は立客の姿があり、そこそこ乗っているように見えますが、隣の車両にはほとんど立客の姿は見えません。
一方、特急の混雑は相変わらずです。梅田方の先頭車については、一本前よりも、立客のあいだに見える隙間が若干目立つでしょうか。車両は、一本前の特急と同じデザインのラッピングが施された、6355Fでした。これで、現在京都線で見られる全てのラッピング車を目にしたことになります。
一番下の写真は、普通です。以後、一組3列車の項は、上の写真が臨時特急「いい古都エクスプレス」、中央の写真が特急、下の写真がその臨時特急「いい古都エクスプレス」・特急の計2列車と高槻市で接続をとった普通の組み合わせになります。
この日はじめての3ドア特急は、見てのとおりのような大混雑です。急行とは対照的です。
この日2本目の臨時特急「いい古都エクスプレス」、1本目と比べて若干乗車率が高くなったでしょうか。それでも、混雑はしていないようです。
特急は、いよいよ混雑が本格化してきました。通路にいる立客が増えているのがわかります。普通は、梅田ゆき特急とすれ違っているためわかりにくいですが、ガラガラです。
この日2本目の3ドア特急。20分前の3ドア特急と同じような混雑です。
臨時特急「いい古都エクスプレス」の乗車率が、徐々に上がってきました。すし詰めの特急は、普段はあまり見かけないツーハンドル車による3ドア特急。普通は、ガラガラです。
ここで急行に多数の立客の姿が見られるようになりました。満員状態の特急を避けて、高槻市で急行へ流れた人が多かったのかもしれません。
臨時特急「いい古都エクスプレス」の乗車率は、さらに上がったようです。桂へ行くはずの人が誤乗して、大宮まで連れて行かれはしていないでしょうか。昨年は、混雑している臨時特急「いい古都エクスプレス」ほど、そのようなケースが見られる傾向にあったことが思い出されます。
特急の混雑と、普通の空き具合は、相変わらずです。このあたりが、午前中のピークでしょうか。
急行の混雑がおさまりました。臨時特急「いい古都エクスプレス」がないパターンでは、基本的には特急に乗ろうと考えるものの、混雑から乗り切れないと判断した人が急行を利用する傾向がありそうです。
特急の車両運用が一巡してきて、6330Fが河原町ゆきの特急として戻ってきました。また窓ガラスが曇っていて、車内の様子がわかりにくくなっていますが、20分前の同じ傾向です。
再び急行の乗車率が少し上がりました。特急の混雑は、まだまだおさまる気配を見せません。
臨時特急「いい古都エクスプレス」に若干の余裕が見えてきたでしょうか。特急は、同じような混雑が続いています。
久しぶりの3ドア特急。3ドア車には収容力があるのか、それとも時間の経過につれて人出が落ちてきたのか、急行の混雑は再びおさまりました。
特急の乗車率は依然として下がりませんが、臨時特急「いい古都エクスプレス」の乗車率は下がりました。特に、梅田方から2両目に顕著にあらわれています。午前の河原町ゆき臨時特急「いい古都エクスプレス」は、この列車で最後です。
桂に着く頃には正午を回っている特急ですが、まだ客足は衰えません。
「紅葉狩りは、勤労感謝の日に」という人が多いのでしょうか、昨年ほどではないにせよ、先週より人出は多かったようです。仮に誤乗を含むにしても臨時特急「いい古都エクスプレス」がそこそこの乗車率であることや、臨時特急「いい古都エクスプレス」が走らないパターンでは急行の乗車率が一時的に上がるケースが見られることから、通常ダイヤよりも多くの輸送力を必要としていることは間違いなさそうです。ただ、行楽シーズンの臨時増発列車として、現在の臨時特急「いい古都エクスプレス」が適任かとなると、停車駅・ダイヤ・乗車率などから考えて疑問が残るところではあります。
一つ気になったのは、梅田方面ゆきの列車を見ていたときに、実用上は実質的な違いがほとんどない普通と急行に、明らかな乗車率の差があったことでした。普通のほうが明らかに乗車率が低かったのですが、理由としては、東向日・西向日(〜上牧)での普通の発車時刻が、通常の土曜・休日ダイヤの急行より時刻表上で1〜2分前倒しされていることが考えられます。そのために、いつもどおり電車の時刻にあわせて駅に来たつもりが、電車は既に発車した後だったという人が多かったのではないでしょうか。
目の前を通過する列車の乗車率をみながら、臨時ダイヤそのものの再検討と共に、臨時ダイヤを今後も継続する場合はその告知方法の再検討も必要ではないかと改めて感じました。
括弧内は、臨時特急いい古都エクスプレスの直後の列車の本数です。通過時刻は、カメラ内の時計が記録したものですが、実際の時刻とのズレが定かではありませんので、だいたいの傾向を参考程度にご覧ください。
通過時刻\車種 | 2ドア車 | 3ドアロング車 | |
---|---|---|---|
末尾6分 30〜59秒 | - | 1本 | |
末尾7分 | 0〜29秒 | - | 3本(うち1本) |
30〜59秒 | 1本(うち1本) | - | |
末尾8分 | 0〜29秒 | 4本(うち2本) | 1本 |
30〜59秒 | 3本(うち2本) | - | |
末尾9分 | 0〜29秒 | 2本 | - |
30〜59秒 | 1本(うち1本) | - |
翌日の11月24日(日)の、JR西日本の臨時列車「嵐山もみじ号」と、阪急の臨時特急「いい古都エクスプレス」の様子です。天候は曇りでした。
「嵐山もみじ号」は、神戸から三ノ宮・芦屋・尼崎・大阪・新大阪と停車し、京都駅に寄らずに嵯峨野線(山陰本線)の嵯峨嵐山まで直通する臨時列車です。2002年11月16日(土)〜12月1日(日)までの土曜日と休日、神戸9:08発(三ノ宮9:12発・大阪9:37発)→嵯峨嵐山10:20着の一本、片道のみの運転です。以前にも同様のルートで臨時列車が設定されたことがありましたので、今回の「嵐山もみじ号」は復活ということになります。
上の写真は、その「嵐山もみじ号」の神戸方の先頭車を、長岡京〜山崎で撮影したものです。ブラインドレスを目指した(後にブラインドを設置)濃いグレーガラスに遮られて、車内の様子があまりよく見えませんが、神戸方の2両に立客の姿はなし、座席も全ては埋まっていないようです。編成内の乗車率に大きな偏りはありませんでした(先頭車の運転台直後を除く)。一本だけの臨時列車ゆえの知名度の低さと共に、阪神間・京阪間では「嵐山へは、JRで」というイメージが薄いのかもしれません。
下の写真は、梅田9:53発の臨時特急「いい古都エクスプレス」の梅田方の先頭車です(長岡天神〜大山崎で撮影)。曇天のせいか、昨日より人出は少ないようで、昨日の同じスジの臨時特急「いい古都エクスプレス」より乗車率は低いです(「梅田10:00発の特急ほか」の項を参照)。特急は昨日と同様混雑していましたので、狙って臨時特急に乗車している人は、多くないようです。
第2回(鉄道):臨時特急のない行楽シーズン、乗車率レポート
第1回(鉄道):物集女踏切&新駅レポート
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