U.R.L. 2007年5月5日(土)初出
多くの利用者が訪れる春の行楽シーズン。2007年3月17日(土)のダイヤ改正以降はじめての春の行楽シーズンとなった4月には、臨時ダイヤが実施されませんでしたが、昨秋の行楽シーズンの様子(新京阪レポート第20回)でも明らかになった2ドア車の混雑への弱さなどの追跡調査も兼ねて、また改めて各列車・各車両の乗車率を連写画像を合成することで視覚化したものを使用して、レポートします。
調査日は2007年4月8日(日)。気象庁の気象統計情報によると、京都(京都府南部)の天気は晴れのち曇り、最高気温19.0℃、最低気温5.4℃。
撮影対象列車は、梅田を午前中(8時59分以降)に発車する河原町ゆき特急と、それと高槻市で接続する河原町ゆき準急と普通、計36列車。撮影場所は、阪急京都本線・長岡天神〜大山崎間の、ほぼ中間地点。ブラインドによって車内の様子が窺えなくなることを極力避けるため、逆光側からの撮影です。写真の向かって左側が河原町方面で、左側の車両を先頭に、列車は右から左へと走っています。
各項では、2列車が一組となっています。これは、高槻市で準急または普通と接続を取る特急で、走ってきた順番どおりに掲載しています。
各列車の通過時刻は、河原町寄りの先頭車を写した際に、カメラ内の時計が記録した時刻です。全て撮影し終えた約3時間後に日本標準時と照合したところ、カメラ内の時計は約3秒遅れていました。なお、このレポート内に掲載している列車の長岡天神発車時刻は、駅の時刻表によると、河原町ゆき特急は末尾0分、同じく準急・普通は末尾4分です。
立客の姿が目立つものの、扉付近も含めてまだまだ余裕があります。通過時刻を見る限り、発車時刻が9時30分である長岡天神には、おそらく定時で到着しているものと思われます。
ガラガラです。乗客が一桁しかいない車両もあります。普段と変わらない姿です。なお、この準急の長岡天神発車時刻は9時35分ですので、遅延はしていないようです。
梅田方の車両で若干混雑度が増したようです。列車の遅れはありません。
今回取り上げる列車の中では、唯一の普通です。ここを境に、梅田での発車パターンが、特急・普通・準急の順から、特急・準急・普通の順へと変わります。車内の様子は一本前の準急と特に変わりなく、また遅れはありません。
扉付近が混雑し、通路中央付近は立客がいない、2ドア車特有の混雑になっています。まだ本格的な混雑には至っていないものの、長岡天神の発車時刻9時50分には間に合いそうにありません。
これまでの準急・普通と、特に変わりはありません。
3ドアクロス車の混雑は、3ドアロング車のそれに近いものがあります。列車の遅れはありません。
編成の長さは変わっても、車内の様子に特に変わりはありません。
20分前の2ドア車特急より、通路の立客数が増えています。列車は、かなり遅れています。
河原町方の車両で乗客数が少し増えたようです。
20分前の3ドアクロス車特急より、乗客数が増えています。列車の遅れはありません。
河原町方の車両で乗客数が少し減ったようです。
いよいよ混雑は本格化。扉付近から通路にかけての混雑が目立ち始めました。列車は遅れています。
空席のない車両が発生し始めました。
3ドアロング車の特急も、本格的な混雑となりました。列車の遅れはありません。
若干、乗客数が減ったようです。
激しい混雑は続きます。列車は遅れています。
ほとんど変化はありません。
混雑度に変化はありません。列車はぎりぎり定時ぐらいで走っているようです。
車両単位で見ると立客が増えたようですが、7連であることから全体としては大きな変化はないようです。
車内には、やや余裕があります。列車は少し遅れています。
河原町方の車両を中心に、乗客が増えています。
またすし詰め状態に戻りました。列車は遅れ気味です。
全体的に乗客が減りました。
2ドア車の特急としては、最も混雑しています。列車は遅れています。
大きな変化はありません。
車内の様子に若干余裕が見える車両もありますが、混雑しています。列車は遅れ気味です。
乗客は減りました。
扉付近の混雑は相変わらずですが、通路に立つ乗客が減っています。列車は少し遅れています。
また少し乗客が減ったようです。
混雑は続きますが、全体的に少し余裕が出始めたようです。列車は遅れ気味です。
車内の様子に大差はないようです。
梅田方の車両を中心に、車内にはさらに余裕が出ています。列車はかなり遅れています。
3両目・4両目で乗客が増えたようです。
河原町方の車両を中心に、車内に余裕が出ています。列車の遅れはありません。
空いています。
2007年春の行楽シーズンは、全体的に利用者が少なかったのか、特急の混雑は相変わらずではあるものの、2ドア車の特急直後の各駅停車(準急・普通)で乗客が増えるという傾向は、明確には現れませんでした。臨時増発列車が運転されなくても、輸送力面で大きな問題はなかったようです。もっとも、特急の混雑は、鉄道を快適に利用できるレベルを超えており、混雑緩和策が期待されます。
一方、列車の遅れについては、3ドア車の特急と比較して2ドア車の特急に遅れが目立つ傾向は、これまでと変わりませんでした。今回取り上げた特急18列車について、使用車種と通過時刻(30秒毎)をまとめると、下表のようになります。
通過時刻\車種 | 2ドア車 | 3ドア車 | ||
---|---|---|---|---|
クロス車 | ロング車 | |||
末尾7分 30〜59秒 | - | 2本 | 3本 | |
末尾8分 | 0〜29秒 | - | 2本 | 3本 |
30〜59秒 | 4本 | - | - | |
末尾9分 | 0〜29秒 | 3本 | - | - |
30〜59秒 | 1本 | - | - |
2ドア車と3ドア車の通過時刻には明確な傾向の違いがあり、2ドア車は全て遅れて運転されていました。一方で、3ドア車のうち、クロス車とロング車との間には傾向の違いはなく、いずれも定時か遅れ気味程度で運転されていました。2ドア車の混雑への弱さが、改めて裏付けられています。行楽期の多客対策としては、2ドア車をどうするか(運転するのかしないのか、運転するならその混雑への弱さをどのようにフォローするか)の一点にかかっていると結論付けられそうです。