U.R.L. 2008年12月15日(月)初出
2008年秋の行楽シーズンには、11月22(土)〜24日(月・祝)の3日間にわたって臨時ダイヤが実施されました。その中日の利用状況を、各列車・各車両の乗車率を連写画像を合成することで視覚化したものを使用して、レポートします。
調査日は2008年11月23日(日)。気象庁の気象統計情報によると、京都(京都府南部)の天気は曇りのち晴れ、最高気温16.0℃、最低気温4.9℃。
撮影対象列車は、梅田を主に午前中(8時49分〜12時10分)に発車する河原町ゆき特急と臨時列車「快速 いい古都エクスプレス」、およびそれらと高槻市で接続する河原町ゆき準急と普通、計49列車。撮影場所は、阪急京都本線・長岡天神〜大山崎間の、ほぼ中間地点。ブラインドによって車内の様子が窺えなくなることを極力避けるため、逆光側からの撮影です。写真の向かって左側が河原町方面で、左側の車両を先頭に、列車は右から左へと走っています。
各項では、2〜3列車が一組となっています。これは、高槻市で準急または普通と接続を取る特急、または高槻市で普通と接続を取る快速いい古都エクスプレス・特急を組み合わせたもので、走ってきた順番どおりに掲載しています。
各列車の通過時刻は、河原町寄りの先頭車を写した際に、カメラ内の時計が記録した時刻です。全て撮影し終えた約1時間40分後に日本標準時と照合したところ、誤差は1秒以内でした。
なお、このレポート内に掲載している列車の長岡天神発車時刻は、駅の時刻表によると、河原町ゆき特急は末尾0分、同じく快速は末尾1分、準急・普通は末尾4分です。
既に行楽期特有の混雑が始まっています。扉付近に人が固まる傾向が見られ、扉間や車端部にはやや余裕が見えるでしょうか。列車は少し遅れています。
少数の立ち客の姿が見えます。全く混雑はしていませんが、これでも普段より乗車率は高め。特急の混雑を避けた人が含まれている可能性があります。
なお、この準急は、茨木市で特急を待避しています。
1本前の特急とは、同じ3ドア車ながらも異なる座席配置が及ぼす車内の乗客分布の違いをよく示す結果となっています。扉間や車端部に立つ人が明らかに増え、一方で扉付近にはやや余裕が見えます。全体としての乗車率に大きな差はなさそうです。列車は遅れ気味です。
この準急まで、特急の待避駅は茨木市です。これ以降、このレポートで取り上げる準急や普通は、高槻市で特急を待避します。
1本前の準急と大差ありません。
1本前の特急と大差ありません。列車の通過時刻の傾向まで、計ったかのようにほぼ同じです。
10分前の準急より、乗車率が下がりました。準急とは異なり、淡路や茨木市などから乗り通す人が少ないためでしょうか。
この普通は、臨時列車運転に伴って運転区間が河原町へ延長されたものではなく、普段の土休日ダイヤでも河原町ゆきとして走っている列車です。
この日1本目の快速です。車内には余裕が見えますが、この時刻の快速としては混雑しているほうです。
3ドアロング車はもとより、3ドアクロス車のクロスシート部分と比較しても、明らかに通路に立つ乗客の密度が低く、6300系の実質的な収容力の小ささと混雑への不向きな様子が見えます。列車はかなり遅れています。
1本前の普通より、若干乗車率が下がったようです。
混雑の度合いが増してきましたが、まだいくらかの余裕は見えます。列車は遅れ気味です。
特急の混雑を回避した人のぶん、乗車率が増したようです。
梅田寄りの車両を中心に、快速の混雑も度合いを増してきました。
6300系の車内の状況は、相変わらずです。梅田寄りの車両のほうに少し余裕が見えるのは、快速に利用者が分散した影響でしょうか。列車は少し遅れています。
乗車率は落ち着きました。河原町寄りの車両に限って若干ながらも立客が見えるのは、特急の混雑を避けた人が含まれているからである可能性があります。
車内にほとんど余裕は見えなくなりました。列車は少し遅れています。
立客の姿が目立ちます。先行する特急が3ドア車でも、輸送力は確実に不足しています。
特急ほどではないものの、しかし十分に混雑している状況にはなっています。7連であることもあってか、最後尾の車両の混雑は、かなりのものです。
2ドア車の特急の状況は、特に変わりません。このあたりが実質的な収容力の限界なのでしょう。列車は相当遅れています。
ほぼ全体に渡って対向列車と重なっているため、車内の様子が見えにくくなっていますが、ほとんど立客はおらず、落ち着いた状態です。
1時間ぶりの輸送力列車は、まさにそれらしい乗車率でやってきました。列車は少し遅れています。
それでも多数の乗客が特急に乗り切れなかったようです。
河原町寄りの車両の混雑も増してきました。
河原町寄りの先頭車を除くと、ほぼ余裕は見えません。列車は完全に遅れています。
20分前の普通と比較すると、立客の姿は増したものの、落ち着いた状況です。
途中から対向列車と重なったため、車内の様子が見えにくくなっていますが、1本前の特急とほぼ状況は変わりません。3ドアクロス車の、実質的な収容力の限界なのでしょう。列車は相当遅れています。
こちらも途中から対向列車と重なったため、車内の様子が見えにくくなっていますが、20分前の準急より立客が増えたようです。
1本前の快速より、若干余裕が見えるようになったでしょうか。ただ、まだ混雑は続いています。
列車に相当な遅れが出ると、定時で走る梅田方面ゆきの列車と重なってしまいます。車内には余裕の見える車両も出始めました。列車は相当遅れています。
20分前の普通と比較して、立客が減りました。
快速が先行しない特急の混雑には、あまり大きな変化がありません。列車は遅れ気味です。
準急の様子にも、大きな変化はありません。
1本前の快速と比較して、車内の様子に大きな変化はありません。
こちらも、20分前の特急と比較して、車内の様子に大きな変化はありません。列車の遅れは、度を越しています。
やはり、20分前の普通と比較して、車内の様子に大きな変化はありません。
混雑は続きます。列車は完全に遅れています。
20分前の準急と比較して、車内の様子に大きな変化はありません。
1本前の快速と比較して、各車両の混雑度はさほど変わりませんが、7連になったぶん輸送量は減っていることになるでしょうか。午前中の快速は、これで終わりです。
20分前の特急と比較して、車内の様子に大きな変化はありません。列車はひどく遅れています。
普通の乗車率は若干下がったでしょうか。
9300系の実質的な収容力の限界まで乗っている列車が続きます。列車はかなり遅れています。
準急の乗車率は、明らかに下がりました。ピークを超えたようです。
時間の経過と共にこちら側から日が射すようになってきたため、上げられたブラインドが増え、車内の様子が伺いにくくなってきました。快速のサポートはなくなりましたが、もとより6300系の実質的な収容力の限界まで乗っている列車が続いていたこともあって、20分前の特急と比較しても車内の様子に大きな変化はありません。列車の遅れは、度を越しています。
10分前の準急と比較して、車内の様子に大きな変化はありません。
ほぼ目一杯乗車している状態が続きます。列車は遅れ気味です。
10分前の準急と比較して、明らかに乗車率が下がりました。
特急の乗車率はほとんど変わりません。列車に遅れはありません。
準急の乗車率も、ほぼ変わりません。
やや余裕のある車両も出てきたでしょうか。列車は遅れ気味です。
車内の様子は、落ち着いてきたようです。
秋の行楽シーズンについては、2008年も例年と同様、勤労感謝の日が人出のピークとなり、それにあわせるように臨時ダイヤも設定されました。
まず全体を通して、京都や嵐山へ向かう利用者の多くが特急を利用しようとする中、明らかにその輸送力が不足している様子がわかります。それに対して、快速は一定の効果を発揮してはいるものの、長岡天神で特急を待避することもあってか、利便性や輸送力の面で決定打とまではなっていない様子ですし、特に2ドア車の特急に対する遅延防止に対しては無力に等しいものがあります。
使用車種ごとの通過時刻をまとめました。カッコ内の数字は、うち快速が先行する列車の本数です。
通過時刻\車種 | 2ドア車 | 3ドア車 | ||
---|---|---|---|---|
クロス車 | ロング車 | |||
末尾7分 30〜59秒 | - | 1本(0) | - | |
末尾8分 | 0〜29秒 | - | 2本(0) | 4本(0) |
30〜59秒 | 1本(1) | 2本(0) | 1本(0) | |
末尾9分 | 0〜29秒 | 1本(1) | 1本(0) | - |
30〜59秒 | 2本(2) | 1本(0) | - | |
末尾0分 | 0〜29秒 | - | 2本(1) | - |
30〜59秒 | 1本(1) | - | - | |
末尾1分 0〜29秒 | 2本(1) | - | - |
快速運転時間帯には必ずそのサポートを受ける2ドア車の特急の遅延については、あるいはこれでも軽減された結果なのかもしれません。しかし、そうでありながらなおこのような遅れが多発するのであれば、2ドア車の運転そのものがこの時期には不適切であるということにほかなりません。遅延が桂での嵐山線への連絡に及ぼす影響、特に本来ならば長岡天神で待避する特急と同じ嵐山線の列車に連絡できるはずの快速へ影響が及ぶと、利用者から見て快速を利用する理由に乏しくなります。
9300系の増備によって、いよいよ2ドア車の終焉が見えてきており、そう遠くない将来に2ドア車にまつわる問題は結果的に解決することになります。それが今後の混雑期の遅延や混雑度にどのような影響を及ぼすのか、関心の持たれるところです。
他の乗車率レポート(第23回・第22回・第21回・第20回・第3回など)でも、特急の通過時刻をまとめていますので、あわせてご覧ください。
河原町11時12分発の、快速梅田ゆきです。午前中の梅田ゆきとしては、最後の快速となります。
梅田方面ゆきについては、特に行楽輸送などは発生しておらず、普段の土休日と変わらない人の流れであるため、輸送力面での臨時増発の必要性は全く感じられません。京都口での増発に対応する、事実上の返送列車です。